不要高額評価の背景(1)震え評価
税務署は、税金の徴収が仕事です。土地の評価が低過ぎると思えば、「この評価はおかしい」と言ってくるでしょう。さらに先方は、税理士の顔色を見ながら「この評価は低いんじゃないですか」などと鎌をかけてくることもありえます。
評価に自信があればそんな指摘は即座に否定できるでしょう。しかし自信がなければ、「税務署から"評価が低すぎる。おかしい"と言われたらどうしよう」と考えてしまいます。むろん評価を否認され追徴されれば、大切な依頼者の信用を失ってしまいます。
この不安を取り除くのは簡単です。判断に自信が持てないところは、あらかじめ評価を高くしておけばいいのです。税務署は高すぎる評価に関してはまず絶対にクレームは付けません。こうしておけば御身は安泰。お客の信頼を失うこともありません。
筆者の場合には、苦手な法人税で「震え会計処理」をやりそうになります。自信がなければつい「無難な処理」で、自身を安全圏におきたくなるからです(苦手なものをいちいち調べるのは苦痛に感じます)。ですから筆者は、不得手な法人税はやらないようにしています。
しかし評価規定にはかなり幅があり、どう評価するかについて独自の判断を要する部分が少なくありません。おまけにその多くが、その判断しだいで評価額は大きく変わってしまうのです。したがって「震え評価」を乱発されたのでは、納税者は大変なことになってしまいます。
ある国税のOB税理士がこう言ったそうです。「自分の書いた相続税の申告書は、一度も税務署に否認されたことはない」。もうお分かりと思います。税務署に否認されない申告書を書くのは簡単なのです。この人の申告書は、「震え評価」のオンパレードではないでしょうか。
相続税を減らす不動産相続の極意 不動産の相続対策
相続に関する多くの誤解が解け、「円満かつ資産を守る相続税対策」の本質が見えてきます。
相続力
平成23年度税制改正大綱に対応!経験豊富な相続税専門の税理士が、相続にまつわる家族の円満から、不動産評価の実態、税務調査まで、本音で語る相続力アップの本。本当は、相続関係のプロには読ませたくない、上級テクニックを披露。
取り返せ!相続税
相続時の注意点から、知っておきたい節税手法、土地の時価評価のしくみ、そして税理士の選定方法まで徹底解説。
裁判所の大堕落
冤罪を続発させ役人のいいなりになる腐敗組織。
役所の腐敗や次々に起こる冤罪は、裁判所の劣化・堕落が原因だ!
はじめての不動産実務入門
不動産の見方、評価の仕方が面白く身につく!実例写真、オリジナルなグラフや図表、わかりやすい解説で理解度100%。
公示価格の破綻
実勢価格との乖離、「選定替え」という不自然な操作など、迷走を続けてきた「土地取引価格の指標」はついに破綻。
新・間違いだらけの土地評価
先入観念や誤解に支配されている不動産に関する一般の認識を是正。土地の評価方法、土地の時価等を解説。
新・嘆きの固定資産税物語
反響をよんだ前著から4年。この間の動きを加え、路線価の評価制度や税制について、新たに分析、批判を試みる。
新・怒りの路線価物語
固定資産税制度を痛烈に批判した「嘆きの固定資産税物語」に3年間の事態の進展を追加した最新版。
まちがいだらけの土地評価
自然体で地に足の着いた発想と考え方で、土地の評価方法、土地の時価等を解説。不動産の姿を冷静に見つめ直す。