容積率
当局は以前、前章で述べたような容積率が土地価格に与える影響を全く知りませんでした。それは東京都心の高度商業地に付された路線価図をみれば一目瞭然(図表5-9)。そこには容積率の高低が路線価にほとんど反映されていなかったのです。
図表5-7: 不足土地控除方式:間口狭小のケース
東京の千代田区麹町。平成4年の路線価図では、容積率800%のA地点の路線価は 13,720千円。一方、その半分の容積率であるB地点が12,280千円。両者には10%程度の差しかありませんでした。平成18年現在では、A地点が 3,420千円、B地点が1,910千円とほぼリーズナブルな数値となっています。
とはいえ批判を受けた評価担当者は、容積率について学んだようです。その後の評価通達の改正で、容積率に関する規定を次々に定めていきました。とはいえ、改正の対象に一般住宅地といったさして容積率の影響を受けない地域も一緒くたにする等、かなりの過剰反応もありました(現在は一応この点は再改正により解消されています)。
今日の評価規定においては、規定のあちこちに「容積率」が出てきます。そのこと自体は悪いとはいえませんが、他の貧弱な規定からみればアンバランスに映ります(ただしその規定内容は概ね妥当といえます)。
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