時価を左右する個別的要因(4)建ぺい率と容積率
行政法規は「住みよく災害にも強く」を目的として、建築できる建物の大きさを制限しています。無制限の大型の建物が建てば、街は過密となって災害時に対処できなかったり、住宅地での高い建物は日照の面で具合が悪いからです。
この制限を行う手段として、建築基準法は建ぺい率と容積率という二つの数値を定めました。図表4-7が示すように、建ぺい率は敷地面積に対してのほぼ1階部分の面積の割合。容積率は敷地面積に対する建物延べ面積の割合です。そしてこの両者の上限の数値が、全国すべての地域に指定されているわけだ。
図表4-7: 建ぺい率と容積率
1000坪の敷地に、イラストのような大きい家があります。するとこの土地の建ぺい率は35%、容積率は55%ということになります。
たとえば、郊外の住宅地であれば前者が50%で後者が100%、商業地であれば前者が80%後者が400%といった指定が標準です。むろんこの容積率 400%というのは、「建物の延べ面積は、敷地面積の4倍を超えてはいけない」という意味です。
この両者の数値は、土地の値段にかなりの影響を与える場合が少なくありません。とりわけ容積率は、「なるべく大きな建物を建てたい」といった土地についての値段に決定的な影響を与えます。つまりマンション用地や高度商業地におけるビル用地等です。
逆に木造2階建てがせいぜいといった一般住宅地にあっては、(ぎっしり建てるミニ開発地域等を除き)容積率等の影響はそれほど大きくありません。結局のところ土地評価にあっては、建ぺい率・容積率の影響をどの程度受けるかをしっかり考える必要があるわけです。
相続税を減らす不動産相続の極意 不動産の相続対策
相続に関する多くの誤解が解け、「円満かつ資産を守る相続税対策」の本質が見えてきます。
相続力
平成23年度税制改正大綱に対応!経験豊富な相続税専門の税理士が、相続にまつわる家族の円満から、不動産評価の実態、税務調査まで、本音で語る相続力アップの本。本当は、相続関係のプロには読ませたくない、上級テクニックを披露。
取り返せ!相続税
相続時の注意点から、知っておきたい節税手法、土地の時価評価のしくみ、そして税理士の選定方法まで徹底解説。
裁判所の大堕落
冤罪を続発させ役人のいいなりになる腐敗組織。
役所の腐敗や次々に起こる冤罪は、裁判所の劣化・堕落が原因だ!
はじめての不動産実務入門
不動産の見方、評価の仕方が面白く身につく!実例写真、オリジナルなグラフや図表、わかりやすい解説で理解度100%。
公示価格の破綻
実勢価格との乖離、「選定替え」という不自然な操作など、迷走を続けてきた「土地取引価格の指標」はついに破綻。
新・間違いだらけの土地評価
先入観念や誤解に支配されている不動産に関する一般の認識を是正。土地の評価方法、土地の時価等を解説。
新・嘆きの固定資産税物語
反響をよんだ前著から4年。この間の動きを加え、路線価の評価制度や税制について、新たに分析、批判を試みる。
新・怒りの路線価物語
固定資産税制度を痛烈に批判した「嘆きの固定資産税物語」に3年間の事態の進展を追加した最新版。
まちがいだらけの土地評価
自然体で地に足の着いた発想と考え方で、土地の評価方法、土地の時価等を解説。不動産の姿を冷静に見つめ直す。