税務調査の決着
税務調査の決着
税務調査の後はどうなるのかをみていきましょう
まず税務署は、調査で調べた疑問点を金融機関に問い合わせる等によりその解明を進めます。税理士側は、調査の際に出された宿題を調べます。そして疑問がほぼ解明されたところ(つまり調査から約1ヶ月後)で、最終処理について税務署と税理士との折衝が始まります。
その結果、税理士が課税財産に組み込むことを同意した場合には、税理士はこれを納税者に伝えます。納税者がこれに納得すれば、税理士が作成した修正申告書に判を押します。そして追加の本税や過少申告加算税等を納付して終了となります。
となれば、この折衝で税理士ががんばるかどうかで、追徴税額の多寡が決まってきます。ここは税理士の腕の見せ所なのです。とはいえ先方もなるべく取りたい立場にあります。何よりこの追徴税額の大きさが彼らの出世に直接影響します。ですからダメ元でかなり多めにふっかけてくる場合も少なくありません。
そして折衝の挙げ句に、グレーゾーン(たとえば払い出し先不明の大口資金)を含め、落としどころに落ちつかるわけです。
ところで、納税者が修正申告書に判を押さないとどうなるのでしょうか。となれば税務署側は、「2,000万円の申告漏れがあるから400万円を納税せよ」といった「更正」処分を行います。納税者がこれを放置すると、やがて国税側は強大な権原を背景に、滞納処分による財産差し押さえ等に入ります。ですから払うしかありません。
一方、この更正処分に納得がいかなければ、納税者は異議申し立て・審査請求、さらには裁判に進みます。
ただし調査が行われたものの申告にほぼ誤りがなければ、税務署は申告を是認することになります。筆者の場合には、この申告是認の割合は4割見当といったところでしょう。
やや余談ですが、国税庁は毎年、税務調査の対象先で何らかの追徴(申告漏れ)が発生した割合は9割以上であると発表し、大新聞もこぞってこれを報道しています。しかし「9割以上」は全く実感と異なります。この真相を最近知りました。
実は税務署内外の競争を意識して、申告是認案件を「没」にすることにより「追徴率は極めて高い」という報告書を上にあげているのだそうです。
しかし国税当局は、「納税者のほとんどが脱税者である」と言わんばかりに、この数値を記者クラブで発表します。マスコミも、何の検証をしないままこれを発表します。まったくもってお話になりません。
相続税を減らす不動産相続の極意 不動産の相続対策
相続に関する多くの誤解が解け、「円満かつ資産を守る相続税対策」の本質が見えてきます。
相続力
平成23年度税制改正大綱に対応!経験豊富な相続税専門の税理士が、相続にまつわる家族の円満から、不動産評価の実態、税務調査まで、本音で語る相続力アップの本。本当は、相続関係のプロには読ませたくない、上級テクニックを披露。
取り返せ!相続税
相続時の注意点から、知っておきたい節税手法、土地の時価評価のしくみ、そして税理士の選定方法まで徹底解説。
裁判所の大堕落
冤罪を続発させ役人のいいなりになる腐敗組織。
役所の腐敗や次々に起こる冤罪は、裁判所の劣化・堕落が原因だ!
はじめての不動産実務入門
不動産の見方、評価の仕方が面白く身につく!実例写真、オリジナルなグラフや図表、わかりやすい解説で理解度100%。
公示価格の破綻
実勢価格との乖離、「選定替え」という不自然な操作など、迷走を続けてきた「土地取引価格の指標」はついに破綻。
新・間違いだらけの土地評価
先入観念や誤解に支配されている不動産に関する一般の認識を是正。土地の評価方法、土地の時価等を解説。
新・嘆きの固定資産税物語
反響をよんだ前著から4年。この間の動きを加え、路線価の評価制度や税制について、新たに分析、批判を試みる。
新・怒りの路線価物語
固定資産税制度を痛烈に批判した「嘆きの固定資産税物語」に3年間の事態の進展を追加した最新版。
まちがいだらけの土地評価
自然体で地に足の着いた発想と考え方で、土地の評価方法、土地の時価等を解説。不動産の姿を冷静に見つめ直す。