法定相続人と法定相続分

 民法は、相続財産の配分に関して重要な2つのことを決めています。法定相続人と法定相続分です。

 まず民法は、死者(被相続人)の財産を誰が相続するべきか(法定相続人)を次のように決めています。まず被相続人の配偶者は常に相続人になります。それ以外の人は順位があります。1番が子供、2番が親、最後の3番目が兄弟です。そして先順位の人が一人でもいたら、後順位の人は相続人になることはできません。

 もうひとつ民法は、これらの法定相続人が遺産をどのように配分すべきかの割合(法定相続分)をも決めています。たとえば相続人が妻と子供3人である場合には、まず妻が遺産の2分の1を取り、残りを子供が均等に配分する(つまり子1人は6分の1)にしなさい、というわけです。

 しかし後者の法定相続分の規定はいわば理念を述べただけであって、そこには強制力はありません。実際の遺産の配分は、相続人の話し合い(遺産分割協議)によって決定されています。そしてこの協議がまとまれば、配偶者が全財産を相続しようが、長男が8割を確保しようが全くの自由です。

 ところがこの遺産分割協議がまとまらなかった場合に、法定相続分が脚光を浴びることになります。つまり協議が揉めると最終的に家庭裁判所の審判・調停さらには裁判となります。ここを司る裁判官がほとんど法定相続分による分割を指示するからです。

 一方、法定相続人以外の人に財産を相続させるということは、遺産分割協議ではできません。その人は相続する権利がないからです(それでも財産を渡したいのであれば、いったん相続を受けた財産を個人的に贈与することになりましょう)。

 ただし、被相続人が遺言で指示すれば、法定相続人以外の人に財産を渡す(遺贈)ことが可能となります。

 このように遺産相続をどのように行うか関しては、被相続人や相続人の意志と民法の規定との微妙なバランスの上で成り立っているわけです。


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