相続税が課税されるしくみ
国や自治体の存立には税は不可欠です。したがってその構成員は公平に税を負担すべきでしょう。ただし税を支払う力のない人を含め、これを一律に課税するには無理があります。そこで税はこれを負担する力(担税力)に応じて課税することとしています。所得税や法人税はその人や法人の稼ぎに、固定資産税はその資産の保有に担税力を見出し、これに応じた負担を求めているわけです。
相続税は、相続により多額の財産を相続したことに担税力を見出して課税します。確かに1~2億円もの相続財産を手に入れた人であれば、かなりの担税力があるでしょう。年収500万円のサラリーマンも相応の所得税を払い、さらにはアパート暮らしの人も消費税等を負担しているのです。
とはいえ、「いやこれは、オヤジが所得税等を大枚払った残りで貯めた財産で、単に相続で名義が子である自分に変わっただけ」という反論もありましょう。その意味から相続税は、かなり高額の財産を相続した人だけに課税します。
したがって課税されるのは、被相続人(亡くなった人)が1億円以上といったかなり多額な遺産を残した場合に限られます。統計的には、相続税を発生させる故人は、100のうち5人以下(つまり20人に1人以下)程度に過ぎません。要するに、ほとんどの人は相続税には無縁なのです。
その意味から、遺産総額が1~2億円であれば場合の税額は数百万円程度と、さして多くはありません。しかし遺産が20~30億円ともなると、通常10億円といった強烈な税が課せられます。むろん担税力が極めて大きいからです。
つまり相続税の税率は、遺産が多額になるにつれてどんどん高くなっていくという累進税率となっています(最低が10%で最高が50%)。大資産家にとっては、この累進課税による高率の課税が怖いのです。
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