ある税理士業界の大物の1人から、「ある賃貸倉庫の敷地に、何とか広大地規定を適用させてほしい」という依頼が持ち込まれました。その際「これができるのは森田しかいない」などとおだてられました。となれば何が何でもやるしかありません。
そもそも面積の広い土地は、原則として広大地としての大きな減額規定が受けることができます。現実に通常の土地に比べて、広大地の単価はかなり下がらざるをえないからです。しかし広大地であっても、それが賃貸建物の敷地であるといった有効利用の対象としている場合には、減額を受けることができないとされています。本当はそれはおかしいのですが・・・。
さて調べてみると、成る程そこにはごっつい倉庫が建っており、相応の収益を上げていました。ただし納税資金捻出のためこの倉庫は取り壊しの上、建売用地として開発会社に売却するといいます。となれば敷地の面積が広いことから売却価格は、ぐっと下がってしまいます。この土地には当然に広大地規定が適用されなければなりません。
さらに調べていくと、この地域では自家用倉庫の建築は許されているものの、貸倉庫は許されていないことが分かりました。つまりこの倉庫の賃貸は、法令上許されてはいないことになります。
そこでこの土地に広大地の減額規定を適用した申告書を作成した上で、これらの点についての詳細な補足説明書を添付しました。すなわち鑑定評価理論においては(常識的にも同様ですが)、非合法ともいうべき使用方法は有効利用とはいわない、という点です。これに、実際の売却価格は広大地適用後の評価額と大差がなかったことと、そもそも有効利用排除は理論的におかしいことをも強調しました。
そのせいか、この申告は何事もなく通りました(別の理由で税務調査がありましたが、この件はまったく問題にされませんでした)。これにより面子を保つことができ、さらには報酬をかなり余分にもらうことができました。むろん依頼者も大喜び。私の成功事例のひとつです。