翁長知事が、遂に辺野古埋め立て承認を取り消したよ。普天間基地の移設計画阻止に向け、知事の最大の権限を行使したわけだ。
一方、政府はこれに強く反発。不服審査等の対抗手段をとる構えだよ。この流れで行けば、やがて法廷闘争ってことになるんだろうね。
この訴訟についてある関係閣僚はこう断言してるよ。「この種の訴訟で国が負けた前例はない。今回も負けることは100%ない」。
この発言内容自体は、真実かつ歴然たる事実なんだ。つまり国が当事者である重要訴訟では、真実がどうあれ裁判所は今まですべて国を勝たせてきている。
有り体にいえば、この種の裁判は完全な八百長。だから辺野古の争いも内容に関係なく、まさに「負けることは100%ない」わけなんだ。
我々は昔、この国の政治システムは三権分立にある、なんて学校で習ったよね。だから裁判所は違憲立法審査権や行政処分の合憲性判断権を有している、とか。
でもこれは全くの虚構。なにせ最高裁長官の指名権等の人事権を内閣が握っている。おまけに裁判官はとっくに本来の使命感を失ってる。だから裁判所には国に逆らってまで社会正義を追求しようなんて心意気はまるでないんだよ。
ついでにいえば、そんな大局など全く勉強してないから、判断力もないんだけどね。
とはいえ「一般的には、政府が人事で脅すといった露骨なことはやらないだろう」という認識で、こういう規定ができてるんだろうと思うよ。
でもこの脅しを使う者が出たり、裁判所が勝手に自主規制をしたりで、この国の裁判所はここ数十年間ずっと「とにかく国を勝たせる」でやってきてたんだ。
ましてや安倍首相はやたら人事権を不当に行使するよね。たとえば日銀総裁、NHK会長、内閣法制局長官、さらに直近では自民党税制調査会長といった、通常は各組織の流れに任せるべきトップの首まで好き勝手にすげ替えてきてる。
これじゃあ首相の意に沿わない判決など、いよいよ怖くて出せなくなっちゃう。むろん政府はそれを狙ってるんだけどね。
やや余談だけど、その典型が刑事訴訟だよ。裁判官はとにかく検察庁(つまり国)の言い分を全部聞いちゃう。だから無罪判決(つまり検察の敗訴)などないに等しい。毎度いうけど、「有罪率99.9%」という信じられないような数値を長年維持してるんだ。
「何をやっても裁判所が有罪判決を出してくれる」となると、警察や検察には杜撰な捜査や取調べが横行する。地道な捜査なんか面倒臭いもんね。
だから実質的な冤罪は山ほど発生してるはずだよ。裁判所が正式に冤罪を認める事案は、それこそ1%もないんじゃないの。
こうした奢りが、政治や行政にも出るんだ。つまり国が何をやっても、裁判所は国の方針を否定するような判決は出さない。国(その行政機関)はそうした確信を持って強引な政治・行政を行ってる。その結果として「国の敗訴は100%ない」との傲慢極まる発言が出てくるわけだよ。
でもね、それがいかに真実であっても、今までこんな発言はほとんど表には出てこなかったと思うんだ。だってこれって「日本は三権分立すら機能していない三流国です」って宣言してるようなもんだもんね。
このみっともない露骨な発言が重要閣僚から出てきてしまう。この理由は何なんだろうね。まず直接的には、翁長知事の主張にかなりの説得力があることによる「焦り」じゃないかと思うよ。
でもその根底の理由は、政治や行政の劣化だろうね。何といっても原発再稼働、労働法制、マスコミ規制、秘密保護法、そして安保法制等々、こんな無茶苦茶をやった安倍ぼんぼん首相の狼藉を、誰も抑えることができなかったもんね。
自民党の国会議員も一応は政治家なんだから、最小限の気骨を示すべきなんじゃないの。人事権を首相に握られてるのは事実だけど、少しぐらいは「おかしいものはおかしい」って言わなくちゃ。自分のことばかり考えてちゃダメなんだよ。
てなわけで、「国の敗訴は100%ない」発言に、恐ろしいばかりの政治の劣化をみた次第だよ。
同時に、こんな状況を維持していくと、今後の安保法制等の裁判も絶望的になっっちゃう。やはり裁判所を何とかすべきだと思うよ。