このような醜い話があるのか。読売新聞は6月13日付で「地方公務員共済、赤字ホテルに公金193億円」と報じている。地方公務員共済組合は昭和40年頃からリゾートホテルを全国各地に建設。開設当初から生じていた赤字の穴埋めに投じられた税金は、700億円を超えるという(なお組合員の積立金からも同額を投入している)。
総務省の担当者はこう言う。「当時は大型ホテルも少なく、公務員が団体旅行で利用できる施設が必要との考えから建てられた。最初から採算は二の次だった」。要するに、最初からホテル事業の赤字に税金を投入するつもりでいたわけである。
しかしこの共済組合は単なる公務員の集まりであり、公的な組織ではない。例えていえば自動車工業従業員共済会(実際にそのようなものがあるかどうかは承知していないが)のようなものである。そしてその「共済会」が独自にホテルを取得・経営し、大幅な赤字を計上した。そしてその赤字を税金で穴埋めしてもらったといったところになる。
この例えに関しては、共済組合はこう反論するだろう。「いや自動車共済会が赤字になれば、その雇用主である自動車会社が救ってくれるはずだ。共済組合の場合もその雇用主(自治体)から補填を受けただけである」。
しかし果たして民間会社がそのような安易な補填をするかどうかは、大いに疑問である。少なくとも民間の共済会であれば、赤字補填を当てにして杜撰な経営をするなどということはありえない。
このような赤字補填という名の税金投入は、実質的な公金の横領以外の何ものでもない。しかも当初から赤字発生が当然視されていた以上、その横領は当初から計画的なものだったわけである。
しかし年金のグリーンピアといい簡易保険のかんぽの宿といい、リゾートホテルについてのデタラメは限りがない。しかしグリーンピアもかんぽの宿も、(実際は国民の財産ではあるが)形式的には税金を投入したのではないといえる。つまり厚生年金の積立金等を食いつぶしたに過ぎない(とはいえこれらは、もっと醜いというべき則面があるが)。
それでもこの税金投入は、形式的には自治体の予算に計上され議会の承認を受けているのであろう。だから「むろん横領ではない」という理屈になる。その意味から、新聞もこれを「不適切」という表現をしている。
それもあってか、共済組合の担当者はそれでも「ホテルは組合員の健康を維持するために必要」という。とはいえ「必要」の本音は、既に作り上げた天下り先の維持にあろう。むろん本当に必要であるならば、共済組合だけの資金で運営すればいいのである
それにしても、このようなデタラメの予算を作成しこれを通す役人、首長、議会はどうなっているのだろうか。
今や「地方の時代」といわれつつある。政権与党の民主党も「地方主権」を打ち出している。こうした中、未だに税金横領に等しい腐りきった自治体の現状。まさに「痴呆の時代」と称すべき状況なのである。