何とまあ図々しい。読売新聞が社説で「新聞には消費税の軽減税率を適用せよ」と主張しているよ。つまり「消費税の増税に際しては、新聞だけは税率を低くするべきだ」という、虫のいい言い分なんだ。

軽減税率とは、食料品等の生活必需品に限って消費税率を軽減するってことなんだけど、これを導入するなんて話はまだ議論すらされていない。
第一、仮に食料品の税率を下げるとしても、食料品かどうかの境目がやたら難しい。むろんどの業界もみんな軽減税率にしてほしい。そんなのを始めたら、どれをその対象にするか等で、消費税は大混乱しちゃうよ。

でも社説は、「新聞は民主主義と活字文化を支える重要な基盤だから、軽減税率を適用すべき」という。さらには米といった食料品と同じ生活必需品ともいうんだ。

しかしそんなことを言い始めたら、世に存在するものはすべて生活需品何じゃないの。必要があるから存在してるんだから。
たとえばキャバクラにしたって、「厳しい生活・労働への癒しとして貢献している」ともいえる。要する「生活必需品」なんて何とでもいえるんだよ。

キャバクラはさておき、ここは常識的な「生活必需の優先度」を考えてみるよ。すると次のように新聞より優先度の高い品目がわんさとあることが分かってくるね。
まずは衣食住の関係や電気ガス水道の類は最優先。それから健康、教育、文化・伝統、科学技術、安全、交通等やそれに関連するものも、新聞より優先順位は高いはずだよ。

そもそも新聞に軽減税率を適用する以上は、それより優先度の高い品目は当然に軽減税率になってなきゃおかしいよね。
でもこの分だと、世の半分以上の品目がその対象になっちゃう。それじゃあ予定の税収が確保できなくなるから、「税率の上げ幅を倍にする」なんて話が出てきちゃうよ。

むろん新聞業界の連中は、こうした理屈は先刻承知のはずだよ。それでもこれを主張する以上は、「新聞を特別扱いにしろ」と言っているに等しいね。
いやもっと分かり易くいえば、「消費税の軽減という名の実質的な賄賂をよこせ。そうすれば新聞は世論を誘導して役所の味方をしてやるよ」という意味なんだよ。

現に、今回の消費税増税に際しては、読売を先頭に新聞業界は「断固増税支持」の論陣を張っていたよね。本来マスコミは、「増税の前にやることがある」という主張をすべきだったにもかかわらずだよ。

にもかかわらず新聞のこの対応。そこには何としても消費税増税をやりたい財務省との密約があったという説がもっぱらだね。つまり軽減税率適用を条件に、新聞が世論を「増税やむなし」とする方向へ誘導するって話だよ。

社説はこうも書いてる。「消費増税による経営悪化で新聞社が減る事態になれば、行政の監視機能が弱まる」。
勘弁してよ。こんな密約・談合をやっておきながらよく言うよ。そもそも大新聞はずっと前から行政の言いなりで、まるでその広報誌状態だったじゃないの。

もう情報はネット等からでも十分得られるんだ。極論言えば新聞なんてなくってもいいんだよ。それでも生き残りたいって言うんなら、権力側とのこんな卑怯な談合をやめて、本来あるべき報道機関に立ち返ることだよ。

そうやって、新聞ならではの存在価値を世に認められれば、消費税が上がったって十分やっていけるはずじゃないの。
にもかかわらず、新聞の使命を放擲したこのエゴ丸出しの行為。こんなの絶対に許しちゃダメだと思うんだよ。