「起訴しないなどの見返りを与えて他人の犯罪を供述させる」、といった司法取引の導入が、7月9日の法制審議会の特別部会で決められたね。

でも司法取引っていうと聞こえはいいけど、その本質は「賄賂取引」じゃないの。捜査側にやたら好都合な供述や証言をするという利益供与により、不起訴処分等にしてもらうっていうんだから。これは贈収賄取引以外の何ものでもないよ。

人質司法に置かれている容疑者と捜査機関との力関係は、圧倒的に捜査機関が強いね。その捜査機関から「釈放してやるから」とか言われつつ「賄賂」の提供を強要される。こんな状況になれば、それが虚偽の内容であってもかなりの人は拒否できないと思うよ。

こんな賄賂が公認されてしまえば、供述・証言の信用性はガタ落ちするね。
だけど裁判官に「この供述は賄賂によるものかもしれない」と常に疑う覚悟ができているのかね。とても期待できそうにないよ。彼らにそんな能力や覚悟がないって分かってるからこそ、警察・検察がこの制度創設に血道を上げてたんだからね。

捜査機関は、犯人に見立てた人物を有罪にするための手段として、これを積極的に利用するだろうね。だから司法取引は「冤罪製造装置」になっちゃうよ。

「日本の警察は優秀」なんてのは過去の話で、今は目も当てられない状況だよ。これを検挙率でいえば、昭和の頃の6~7割だったものが、平成には約3割へと軽く半減してるもんね。
しかも最近の犯人逮捕のほとんどは「監視カメラ」がらみ。昔にはこんな便利なものはなかったよね。

その主な理由は、裏金の蔓延を象徴として、警察組織が腐ってきていることだね。だって腐敗まみれの上層部から「しっかりやってこい」なんてハッパかけられても、やる気出るわけないもんね。
だから「実力が伴わなくとも、楽をして数字(検挙率)を稼ぐ」ための手段として、警察は新たな「便利なもの」を欲しがった。それがこの「賄賂取引」なんだと思うよ。

何より恐ろしいのは、捜査機関や政権側にとって邪魔な人間を排除するために、その者を犯罪者にさせることが簡単にできてしまうことだよ。

ターゲットの周辺にいる弱みのある人物を何人か捕まえて、「供述」を強要する。これを口実に強制捜査をやってマスコミに書かせれば、その人は致命的ダメージ。さらに起訴して刑事被告人にしちゃえば、社会的に抹殺できるってわけだよ。

司法取引は既に欧米各国で導入されてるって?あのネ、欧米と日本ではいろんな状況が違うんじゃないの。
まずは捜査機関・裁判所のレベルや順法精神の程度が違うはずだよ。人種や宗教等が入り交じった欧米とは国情も違う。だから単純な比較はできないんだよ。

思うに、この制度創設の背景にある根本の誤りは、秘密保護法その他と同様、「役所・役人は悪いことをしない善人である」という前提をおいていることだね。

むろん実態はその正反対。彼らはズルや不正もおかまいなしで、「いかに楽をして優越したいい思いをするか」しか考えていない大悪人なんだ。このとんでもない両者のギャップが、この国の制度や国民を不幸にしているんだと思うよ。