顧問税理士との連携
最大の相続税対策は「税理士の選択」、つまり腕のいい税理士に依頼することです。「腕のいい」とは「不動産に強い、税務署に強い、依頼者に優しい」の三点です。腕がいいかどうかの違いは、税額の多寡だけではありません。初めての事態で不安な中、そこから得られる安心感も少なくないように思います。
とはいっても納税者とすれば、従来からのつながりのある「先生」に依頼せざるをえない状況も多いと思います。その場合には、その税理士に対して、先の三点に少しでも近づけるべく、いろいろ注文を出すべきと思います。何でしたら、拙著「取り返せ相続税」の本を示して、「こんなことを書いている本もありますネ」とか言って、プレッシャーをかけるのもおもしろいかもしれません。
ところで、相続財産が多くの不動産で構成されている場合には、不動産に強い税理士に、不動産の評価だけを依頼するという手もあります。つまり正規に依頼する税理士(A税理士)が、筆者のような税理士(B税理士)に不動産評価のみを下請けに出すわけです。要するに分業です。
具体的にいえば、B税理士は土地・建物の評価結果(評価明細書や関連資料を添えて)をA税理士に提出します。A税理士は、それ以外の資産の評価を含め申告書全体を作成します。そして当然ながら、不動産評価に関しては税務調査の対応を含めB税理士が全面的に責任を負います。したがって申告書への署名は、二人が連署することになりましょう。
いうまでもなく、土地の評価如何によって相続税額はガラッと変わります。ましてや広大地の規定を適用できるかどうかでは大変な差が生じます。にもかかわらずほとんどといっていい不動産が不得手の一般の税理士は、国税側の否認を恐れてつい「無難な評価」をしてしまいます。つまり本来であれば当然に広大地の規定が適用できるはずの土地にも、これを適用しようとしないのです。やはり税理士は、「不動産に強く、税務署にも強い」であるべきだと考えます。
この「下請け方式」も難しいというのであれば、次の手法を提案いたします。
まずA税理士にすべての申告書の作成を依頼し提出してもらいます。その後提出済の申告書における不動産評価を、B税理士にチェックしてもらいます。そしてこれによって税額がかなり下がるのであれば、B税理士の手で税務署へ税金の還付の申請(更正の請求)を行うわけです。
なおこの場合、こうした行為がA税理士に知られてしまうのはあまり芳しくありません。通常は知られないままこれを行うことは可能といえますが、予想される税務調査の時期等によっては、うまくいかない場合も生じます。この辺はケースバイケースとなります。
いずれにしても、むざむざ余計な税金(しかもかなり多額)を払うのはもったいないと思います。ものは試し。B税理士に「ダメ元」で相談してみることをお勧めしておくこととします。
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